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紫垣英昭さんの『50代でも間に合う!株デイトレード入門』を、本文と公式の資料で確かめたレビューです。
50代からデイトレードを学ぶか迷っている人に向けて、向く人と注意点をまとめました。
結論は、信用取引を使って1日のうちにトレードを終える流れを、1冊で見渡したい人に向く本です。
ただし、本にある勝率や成績は著者本人の話で、当方では確かめていません。
| 本 | 向く人 | 学べること | 出版年 | 分量 |
|---|---|---|---|---|
| この本(紫垣英昭さん) | 信用取引を使うトレードを一から知りたい人 | 信用取引の仕組み、始める前の準備、著者のやり方 | 2024年8月 | 約5.9万字(約1時間58分) |
| 『デイトレード』(ベレス、カプラ) | 短いトレードの心構えを深く読みたい人 | 損との付き合い方、トレーダーの心の動き | 2002年10月 | 約17.7万字(約5時間54分) |
| 安恒理さんのマンガの株入門 | 株の売り買いの基本から知りたい人 | 口座の開き方、注文と板の見方、会社の見方 | 2017年5月 | 約5.6万字(約1時間52分) |
| 『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 | 手間の少ない長い運用も考えたい人 | インデックス運用(市場全体に合わせて動く投資信託)の始め方 | 2022年3月 | 約9.6万字(約3時間12分) |
短いトレードは、預けたお金に比べて損が大きくなることもあります。
先に本をみたい人はこちら。
『50代でも間に合う!株デイトレード入門』(Kindle版、Amazon)
『50代でも間に合う!株デイトレード入門』は信用取引で1日のトレードを学ぶ本
本の考え:50代は長い積立より、短いトレード
本では、50代からは長い積立より、短いトレードが合うと考えています。
第1章では、新NISAの積立の試算と、著者自身のデイトレードの試算を並べて比べました。
著者は元証券ディーラーで、投資の経験は36年以上だと「はじめに」で書いています。
編集部は、これは著者の考えの1つで、だれにでも当てはまるものではないとみています。
この本で学べる4つのこと
本の中を確かめたかぎりでは、学べることは次の4つです。
- 信用取引(お金や株を借りてトレードするやり方)の仕組みと、空売りの考え方
- パソコンや取引ツール、証券口座など、始める前の準備の流れ
- 5分足のチャートやVWAP(出来高で重みをつけた平均の値段)を使う、著者の見方
- 損切りや取引の記録など、損を広げないための心構え
トレードの細かい条件や手順は、本で確かめてください。
本でも、借りられる上限いっぱいまでトレードするのは避けるよう、書いてあります。
どこに何が書かれているか
前の半分は仕組みと準備、後ろの半分は著者のやり方、という分け方でした。
| 場所 | 本文で扱っている話 |
|---|---|
| 第1〜2章 | 50代にデイトレードが合うとするわけ、信用取引と空売りの仕組み |
| 第3章 | パソコン、取引ツール、証券口座、入金の準備 |
| 第4〜5章 | チャートの設定、銘柄の探し方、買いと空売りの入り方、利益確定と損切り |
| 第6章と巻末 | 心構え、著者の講座の受講生の声 |
取引ツールの説明は、SBI証券と楽天証券のツールを例にしています。
ほかの証券会社を使う人は、画面の名前を読み替えることになります。
本の試算を当方で計算し直すと、前提の違いが見える
新NISAの試算は、当方の計算と1円まで同じ
本の試算は、月3万円を20年、年5%で積み立てて約1,222万円になるというものです。
当方で計算し直すと12,223,733円で、本の数字と1円まで同じでした。
| 計算の条件 | 20年後の額 |
|---|---|
| 年5%を月ごとの複利に直し、月の初めに積み立てる | 12,223,733円(本と同じ) |
| 年5%を月ごとの複利に直し、月の終わりに積み立てる | 12,174,135円 |
| 年5%を12で割った利率で、月の初めに積み立てる | 12,382,389円 |
条件の置き方で15万円ほどの差は出ますが、本の計算に間違いは見つかりませんでした。
月5%で10年は、年に直すと約79.6%の運用
本では、著者が100万円から月5%の利益を目指した例を、10年分の試算で示しています。
月5%を12か月重ねると、年に直して約79.6%になります。
当方の計算では、100万円を月5%で120か月回すと約3億4,891万円でした。
| 項目 | 新NISAの試算 | デイトレードの試算 |
|---|---|---|
| お金の入れ方 | 毎月3万円を20年(合わせて720万円) | 初めに100万円 |
| 利回り | 年5% | 月5%(年に直すと約79.6%) |
| 期間 | 20年 | 10年 |
| 本の結果 | 約1,222万円 | 1億円をこえる |
| 当方の計算 | 12,223,733円 | 約3億4,891万円 |
本は結果を「1億円をこえる」と書いていて、計算としては控えめな言い方です。
ただ、2つの試算は、利回りもお金の入れ方も違う前提で比べています。
月5%を10年続けられるかは試算の外の話で、本の数字だけでは決められない、と編集部はみています。
勝率89.2%や受講生の成績は、著者側の話
第4章の初めにあるのは、著者が動画の企画で約3週間に100万円、勝率89.2%だったという話です。
「はじめに」では、著者の講座の受講生が月10〜20万円の利益を出しているとも書きました。
これらの数字について、当方の立場は次のとおりです。
- 勝率や利益の数字は、著者本人と受講生の話として本に載っている
- 当方では、トレードの記録や口座の明細を確かめていない
- 勝率が高くても、1回の損が大きければ、全体ではマイナスになりうる
成績の数字はやり方を読むときの参考にとどめ、自分の見通しとは分けて読むほうが安全です。
読む前に知っておきたい制度(2026年10月時点)
取引時間は、出版の後15時30分まで延びた
本では、株の取引時間を平日の9時から15時と書いています。
東京証券取引所は2024年11月5日から、午後の取引の終わりを15時30分に延ばしました。
| 区分 | 今の取引時間 |
|---|---|
| 午前(前場) | 9時〜11時30分 |
| 午後(後場) | 12時30分〜15時30分 |
出典:日本取引所グループ「売買立会時」/「取引時間の延伸等」(2026年10月28日確認)
本は2024年8月に出たので、延びる前の時間で書かれています。
時間に触れたところは、今の取引時間に合わせて読み替えてください。
信用取引は約3倍のトレードができる代わりに、追証がある
信用取引では、預けたお金(委託保証金)を担保にして、お金や株を借りてトレードします。
| 項目 | 日本取引所グループのページの書き方 |
|---|---|
| 委託保証金 | 売り買いする金額の30%以上 |
| いちばん少ない額 | 30万円 |
| 取引できる額 | 委託保証金の約3倍まで |
| 追証(追加保証金) | 損などを引いた保証金が、売買代金の20%を下回るといる |
| 制度信用の返済の期限 | 6か月以内 |
出典:日本取引所グループ「信用取引の目的・仕組み」/用語集「委託保証金」(2026年10月28日確認)
本文を「追証」と「追加保証金」で探したところ、どちらの言葉も出てきませんでした。
たとえば30万円で100万円分を買うと、株価が1割を超えて下がったところで追証の水準に入ります。
細かい基準は、口座を開く証券会社の説明で確かめてください。
損は制限値幅の中でも、預けたお金に比べると大きい
本では、その日のうちにトレードを終えるので、損は制限値幅の中に収まるとしています。
制限値幅は、前の日の終わりの値段などをもとに、1日に株価が動ける幅を決めたものです。
| 株価 | 1日の制限値幅 | 株価に対する割合 |
|---|---|---|
| 500円以上700円未満(例:500円) | 上下100円 | 20% |
| 1,000円以上1,500円未満(例:1,000円) | 上下300円 | 30% |
出典:日本取引所グループ「制限値幅」(2026年10月28日確認)
保証金の約3倍までトレードしていると、3割の値動きは、預けたお金の9割を超える損にあたります。
値幅のいちばん上や下に張り付いて売り買いが成り立たず、その日に手じまいできない日もあります。
1日で終えるトレードでも、信用取引を使えば損は大きくなりうる、と知ってから読むのが安全です。
新NISAとデイトレードは、狙いの違う道具
本では、新NISAは50代からはうまみが薄い、という立場をとっています。
金融庁のページで、今の新NISAの決まりを確かめました。
| 項目 | 金融庁のページの書き方 |
|---|---|
| 1年の枠 | 360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円) |
| 生涯の上限 | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円) |
| 持てる期間 | 無期限 |
| 売ったとき | 簿価のぶんの枠が、翌年に戻る |
| ふつうの口座の税金 | 利益や配当に約20% |
出典:金融庁「NISAを知る」(2026年10月28日確認)
売った枠は翌年まで戻らないので、同じ枠で1日に何回もトレードする使い方には合いません。
長い積立とデイトレードは、狙いも手間も違う道具だ、と編集部はみています。
→ 関連:新NISA1800万円は何年で埋まるか|月10万で15年、月5万で30年
この本が向く人・向かない人と、そのときの代わり
この本が向く人
編集部は、この本が合うのは次のような人だとみています。
- 信用取引や空売りの仕組みを、1冊でひととおり知りたい人
- 1日でトレードを終える考え方を知ったうえで、やるかどうかを決めたい人
- 損切りや記録のつけ方など、短いトレードの心構えを先に読んでおきたい人
分量は約5.9万字で、1分500字なら2時間ほどの量です。
向かない人と、代わりの本
反対に、次のような人には別の本のほうが合います。
| こんな人 | 代わりの本 |
|---|---|
| 株の売り買いの基本から知りたい | 安恒理さんのマンガの株入門 |
| 短いトレードの心の動きを深く読みたい | 『デイトレード』(ベレス、カプラ) |
| 日中に値動きをみる時間が取れない | 『全面改訂 第3版 ほったらかし投資術』 |
| 老後のお金を減らしたくない | 長い積立と、取り崩しの計画 |
本のやり方は、取引時間のあいだに値動きをみることが前提でした。
→ 関連:心構えの本のレビューは オリバー・ベレス『デイトレード』レビュー|手法より心構えを学ぶ本
手間の少ない長い運用は、データで確かめた記事があります。
→ 関連:オルカンかS&P500か|円建て36年のデータで検証した結果
読むときの注意点と対処
読む前に、次の4つを頭に入れておくと、つまずきにくくなります。
- 成績の数字:著者と受講生の話なので、自分の見通しにしない
- 取引時間:2024年11月5日から15時30分までになったので、読み替える
- 追証:本に説明がないので、日本取引所グループのページで先に読む
- 手数料と金利:本の書き方は出版のときのものなので、証券会社の公式ページで今の条件をみる
本では、2023年秋から株の取引の手数料を無料にした会社がある、としています。
当方では、各社の今の手数料の条件は確かめていません。
信用取引には手数料とは別に、金利や貸株料がかかることも本で説明しています。
信用取引を使うトレードの流れを、1冊で知ってから決めたい人はこちら。
『50代でも間に合う!株デイトレード入門』(Kindle版、Amazon)
まとめ|次にやること
- 信用取引を使って1日でトレードを終える流れを、1冊で見渡せる本(2024年8月、約5.9万字)
- 新NISAの試算は当方の計算と同じで、デイトレードの試算は月5%(年に直すと約79.6%)が前提
- 勝率89.2%などの成績は著者側の話で、当方は確かめていない
- 取引時間は2024年11月5日から15時30分まで。追証の仕組みは本の外で確かめる
次にやることは3つです。
- 日本取引所グループの「信用取引の目的・仕組み」を読み、保証金の30%と追証の線の20%をメモする
- 損をしても困らないお金の額と、平日の9時〜15時30分に使える時間を紙に書き出す
- 関連記事の長い積立の数字と並べて、どちらが自分の目的に合うかを決める
1冊で短いトレードの全体像をつかむなら、この本が入り口になります。
『50代でも間に合う!株デイトレード入門』(Kindle版、Amazon)
- → 関連:老後の資産形成はS&P500一本でいい|6,500万円を定率3%で取り崩す方法
- → 関連:投資本の読む順番|初心者におすすめの1冊目を目的別に
- → 関連:新NISA1800万円は何年で埋まるか|月10万で15年、月5万で30年
- → 関連:オルカンかS&P500か|円建て36年のデータで検証した結果
この記事は書籍の紹介で、デイトレードや特定の銘柄の売買をすすめるものではありません。
投資の判断はご自身の責任でお願いします。
本文の数値は2026年10月28日の確認と計算によるもので、制度はそのときの公式ページの書き方です。
