Amazon11/12まで!スマイルSale開催中!セール会場へ

B.N.F氏の乖離率逆張りは今も効くか|3,722銘柄・2年分で検証

B.N.F 氏が雑誌で語ったとされる乖離率の逆張りは、今も効くのか。

日本株3,722銘柄・2年分の公開データで検証しました。

結論は、効いたのは急落のときだけで、ふだんは指数に負けていました。

  • 乖離率−20%で買って+3%で売ると、2年で2,541回・勝率72.8%・平均+3.68%
  • ただし4割は2025年4月の急落に集中し、それを除くと平均+0.19%でETFに負ける
  • 終値の損切りを足すと、勝率も平均も下がった

この記事は、短期売買の「技」が数字でどこまで本当なのかを知りたい人に向けています。

『わが投資術』の検証記事は本の割安株を長期で見た回で、本記事は雑誌の技を2年分の全銘柄で試した回です。

同じ検証をグラフで見たい人は、YouTube「数字でみる投資ラボ」の本編(8分)をどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=yFsJxjv4zXI
目次

B.N.F 氏の「技」を3つのルールに置き換えた

今回の題材は本ではありません。

B.N.F 氏が2005〜2008年に週刊誌や投資誌のインタビューで語ったとされる、相場の見方です。

題材は雑誌の発言で、本人の著書はない

本人の著書はなく、発言はまとめサイト(2008年5月)に各誌の号数つきで集められた二次情報です。

そのため発言はすべて言い換えて使い、原文の引用はしていません。

本人の資産や生活には触れず、語られた「相場の見方」だけをルールにしました。

  • ルールへの置き換えは当方がしたもので、本人がこのルールで売買していたわけではない
  • 本人は板(注文の状況)や先物、相場全体の流れも見て判断していた
  • その部分は終値のルールにできないので、再現できたのは一部

確かめた3つの技

数字で確かめられる発言を、3つのルールに絞りました。

技発言の要旨(言い換え)置き換えたルール
1 乖離率の逆張り下げ相場では25日線から大きく下に離れた株を買い、2〜3%戻ったら売る25日線からの乖離率が−20%以下の日の終値で買い、+3%で売る。上がらなければ5営業日で売る
2 損切り損切りは早く。勝率は10回に6回でよく、損を小さくすれば増える技1に、買値から−3/−5/−10%の終値で売る損切りを足す
3 連れ高上げ相場では同じ業種の主力株が連れ高する。出遅れた1社を買う33業種の時価総額上位4社のうち2社以上が+3%以上の日に、+1%未満の1社を終値で買い1〜3日持つ
発言をルールに置き換えたもの(発言は言い換え)

25日線とは、直近25営業日の終値の平均をつないだ線です。

乖離率は、株価がその線から何%離れているかを表します。

時価総額は株価に発行ずみの株式数をかけたもので、会社の大きさの目安です。

検証に使ったデータ

データ出どころ基準日
全上場銘柄の日足(調整ずみ終値・時価総額)・33業種・市場区分J-Quants2024年7月25日〜2026年7月24日(487営業日、3,722銘柄)
TOPIX連動ETF(1306)の終値J-Quants同上(地合いの判定と、比べる相手に使う)
検証に使ったデータと基準日

TOPIXは東証に上場する会社全体の値動きを表す指数で、ETFはそれに連動する上場投資信託です。

計算は終値で買って終値で売る形で、配当は入れず、手数料はなしと1往復0.2%の両方で出しました。

比べる相手は、同じ日数だけTOPIX連動ETFを持った場合と、全銘柄の平均です。

計算は2026年10月26日に当方がおこない、その結果を動画と本記事にまとめています。

出典:J-Quants(2026年10月26日確認)

乖離率−20%の逆張りは勝率72.8%、ただし4割は2025年4月に集中

技1の結果は、2年で2,541回の買いが出て、勝率72.8%・平均+3.68%でした。

ところが、そのうち1,004回は2025年4月の急落のときです。

25日線から20〜30%離れた株は、5日で+2.41%戻る

ルールの前に、全銘柄・全営業日をその日の乖離率で分けて、5営業日後の平均を見ました。

乖離率回数5日後の平均上がった割合
−40%以下365+0.53%41.4%
−40〜−30%1,104+2.21%47.6%
−30〜−20%6,651+2.41%53.0%
−20〜−10%52,292+1.08%53.1%
−5〜0%547,374+0.31%51.5%
+20%以上20,773+0.31%42.7%
乖離率ごとの5営業日後の平均(全銘柄・全営業日、2024年8月〜2026年7月)
25日移動平均線からの乖離率ごとの5営業日後の平均リターンの棒グラフ
乖離率ごとの5日後のリターン(全銘柄・全営業日、当方作成)

ふだんの株は5日で+0.31%前後ですが、20〜30%下に離れた株は+2.41%で、およそ8倍です。

「おおきくはなれた株はもどりやすい」は、平均で見ると本当でした。

ただし−40%以下まで離れると平均+0.53%、上がった割合は41.4%で、戻りません。

本人も「深すぎる株は危ない」と語っていて、ここは数字と合います。

ルールの結果:2,541回・勝率72.8%・平均+3.68%

ルール回数勝率平均費用後(0.2%)同じ日数のETF
−20%で買い+3%で売る2,541回(1,164銘柄)72.8%+3.68%+3.48%+2.71%
−30%で買い+3%で売る394回65.5%+2.44%—+1.91%
−40%で買い+3%で売る93回58.1%+0.91%—+0.79%
乖離率の逆張りルールの結果(最長5営業日、終値→終値、配当なし)
乖離率マイナス20・30・40%で買い3%で売るルールの勝率と平均の棒グラフ
乖離率の逆張りルールの結果(当方作成)

勝率とは、売ったときに買値より上がっていた回の割合です。

−20%のルールでは、+3%の利確に届いたのが68.5%で、平均の保有は2.67日でした。

同じ日数だけETFを持った場合の+2.71%も上回り、ここまでは本人のことばどおりに見えます。

2025年4月を除くと平均+0.19%で、ETFに負ける

買いが出た月を並べると、2025年4月に1,004回、全体の39.5%が集まっていました。

関税ショックで、4月7日の1日だけで709銘柄が−20%を超え、その後ほぼ全部が戻ったためです。

この月だけで勝率95.7%・平均+9.03%でした。

期間回数勝率平均費用後同じ日数のETF
2年全部2,54172.8%+3.68%+3.48%+2.71%
2025年4月だけ1,00495.7%+9.03%—+5.71%
2025年4月を除く1,53757.8%+0.19%−0.01%+0.76%
−20%のルールを2025年4月で分けた結果
乖離率マイナス20%の買いが起きた月ごとの回数の棒グラフ。2025年4月に4割が集中
買いが起きた月。2025年4月に集中(当方作成)

4月を除いた1,537回は勝率57.8%・平均+0.19%で、同じ日数のETF(+0.76%)に負けました。

費用を引くと−0.01%で、ゼロです。

−30%まで待っても、4月を除けば平均−1.23%でした。

「急落の底で買えばもどる」は本当ですが、それは急落のときだけで、ふだんの乖離率−20%は効いていません。

下げ相場とプライム市場では効き、グロース市場では弱い

本人は「下げ相場のほうが儲けやすいことも多い」「新興市場の株はさげてももどりにくい」とも語っています。

−20%のルールを地合いと市場で分けました。

下げ相場で+6.70%、上げ相場で−0.38%

ここでの「下げ相場」は、TOPIX連動ETFが25日線より下にある日(全営業日の29.6%)です。

地合い回数勝率平均同じ日数のETF
下げ相場(ETFが25日線より下)1,46086.4%+6.70%+4.47%
上げ相場(ETFが25日線より上)1,08154.4%−0.38%+0.35%
下げ相場・2025年4月を除く45865.7%+1.45%+1.73%
−20%のルールを地合いで分けた結果

たしかに下げ相場のほうが効いています。

ただし下げ相場の買いの68.6%は、やはり2025年4月でした。

4月を除いた下げ相場は+1.45%で、ETFの+1.73%とほぼ互角です。

プライム+5.81%、グロース+2.12%で、新興市場は戻りが弱い

市場回数勝率平均4月を除く勝率4月を除く平均
プライム69984.0%+5.81%66.1%+1.44%
スタンダード84873.6%+3.76%60.5%+0.66%
グロース99464.3%+2.12%52.6%−0.65%
−20%のルールを市場区分で分けた結果
乖離率マイナス20%のルールの成績を市場区分ごとにくらべたグラフ
市場区分ごとの結果(当方作成)

プライムは東証の最上位の市場で大きな会社が多く、グロースは新興企業の市場です。

グロースで買った994回は勝率64.3%・平均+2.12%で、プライムの半分以下でした。

4月を除くと、プライムはプラスのまま、グロースはマイナスになります。

この発言は、数字で見ても本人のことばどおりです。

終値の損切りを足すと、勝率も平均も下がった

技2は「想定よりさがったらまたずに切る。勝率は10回に6回でいい」です。

そこで技1に、買値から3・5・10%下がった終値で売る損切りを足しました。

−3%で切ると勝率64.4%・平均+3.08%

ルール(−20%)勝率平均4月を除く勝率4月を除く平均
損切りなし72.8%+3.68%57.8%+0.19%
−3%で損切り64.4%+3.08%47.4%−0.13%
−5%で損切り67.6%+3.15%52.5%0.00%
−10%で損切り70.7%+3.26%56.9%+0.18%
損切りを足したときの変化(−20%のルール、終値で判定)
損切りの幅ごとの勝率と平均リターンの棒グラフ。損切りを足すと勝率も平均も下がった
損切りを足した場合(当方作成)

どの幅で切っても、勝率と平均の両方が下がりました。

買った翌日にさらに下げてから戻る株が多く、終値の損切りが「底で売る」になっていたからです。

−30%のルールでも同じで、損切りなしの65.5%・+2.44%が、−3%で切ると52.8%・+2.11%になりました。

勝率6割は合うが、負けの平均が勝ちより大きい

4月を除いた勝率57.8%は、本人の「10回に6回」にほぼ合います。

ところが、勝った回の平均が+6.62%なのに対して、負けた回の平均は−8.64%でした。

  • 勝った回の平均:+6.62%(4月を除く1,537回)
  • 負けた回の平均:−8.64%
  • 負けた回の下位10%:−11.9%

損を小さくできなければ、6割勝っても増えません。

本人は板と値動きを見て切っていたとされ、終値だけのルールではそこを再現できませんでした。

判定は「本人のことばとちがう(終値の損切りでは)」です。

同業種の連れ高で出遅れを買うと3日で+0.77%、ほぼ互角

技3は上げ相場の順張りで、「おなじ業種の主力があがりはじめたら、まだあがっていない1社を買う」です。

446回で勝率52.7%、ETFに勝った回は51.8%

33業種ごとに時価総額の上位4社を「主力」としました。

その日に2社以上が+3%以上上がり、残りの1社が+1%未満なら、その1社を終値で買います。

2年で446回(199日・99銘柄)ありました。

保有勝率平均費用後同じ日数のETF全銘柄の平均ETFに勝った回
1日後54.7%+0.31%+0.11%+0.11%+0.06%50.0%
2日後52.9%+0.46%+0.26%+0.15%+0.11%51.6%
3日後52.7%+0.77%+0.57%+0.24%+0.19%51.8%
出遅れた1社を買った結果(446回、終値→終値)
同業種の連れ高で出遅れた1社を買った結果のグラフ
出遅れた1社を買った結果(当方作成)

3日後の平均+0.77%は、同じ日数のETF(+0.24%)の3倍です。

費用0.2%を引いても+0.57%で、ETFには勝ちます。

ただし勝率は52.7%、ETFに勝った回は51.8%で、コイン投げよりわずかによいていどでした。

上がった主力を追うより、出遅れを買うほうがよかった

逆に、上がった主力そのものを買う順張りも計算しました。

  • 上がった主力そのもの:2,165回、1日後 勝率44.3%・−0.16%、3日後 48.8%・+0.19%
  • 主力の条件を+2%にゆるめる:1,468回、3日後 勝率51.5%・+0.26%(ETF +0.11%)で差が消える
  • 業種別は電気機器66回 +1.82%、非鉄金属54回 +0.74%など回数が少なく、差は偶然の範囲

方向としては本人のことばどおりで、上がった株を追うより出遅れを拾うほうがよい結果でした。

ただし条件を少しゆるめると差が消えるので、判定は「わずかに支持(ほぼ互角)」です。

→ 関連:短期の技ではなく、本の「物差し」を36年で見た回は わが投資術の割安小型株は有利か|36年のデータで検証した結果

この検証の限界と、この技が向かない人

検証の限界は5つ

  • 二次情報:語録は雑誌の発言をまとめサイトが集めたもので、本人の著書ではない
  • ルールの置き換え:当方がしたもの。本人は板・先物・相場全体の流れも見ていて、それは終値のルールにできない
  • 期間:2024年8月〜2026年7月の2年分だけ。本人が活躍した2000年代の相場では確かめていない。急落は2025年4月の1回で、2024年8月5日の急落は25日線の計算の都合で入っていない
  • 計算の前提:終値→終値、配当なし、手数料は0と1往復0.2%。急落で−20%を超えた株を全部買うことは資金の面でできないので、1回あたりの平均で見た
  • 生存者バイアス:母集団は2026年7月時点の上場銘柄だけで、途中で上場廃止になった会社は入っていない

生存者バイアスとは、途中で消えた会社を数えないせいで、成績が実際よりよく見えることです。

この2年はTOPIX連動ETFが25日線の上にあった日が70.4%の上げ相場で、下げ相場が長く続く局面は試せていません。

過去の結果で、将来を約束するものでもありません。

向いている人・向いていない人

数字から見て、この技が向いているのは次の人です。

  • 相場を毎日見られて、急落のときに動ける人
  • 大型株を中心に見る人(効いたのは急落の底でプライムの株を拾う場面だけ)
  • ふだんは指数を持ち、急落のときだけ動くと決められる人

向いていない人もあげます。

  • ルールだけ真似れば勝てると思っている人
  • ふだんから逆張りをしたい人(ふだんの乖離率−20%はETFを持つほうがよい結果だった)
  • 新興市場の小さな株で逆張りをしたい人(グロースは4月を除くとマイナス)

デメリットと、その対処

いちばんのデメリットは、短期売買は損失が大きくなることがある点です。

ルールどおりにやっても、負けた回の平均は−8.64%で、勝った回の+6.62%より大きいという注意点があります。

対処は、やるなら余裕資金の一部にとどめ、ふだんは指数(ETF)を持って急落のときだけ動く形にすることです。

損切りの幅や乖離率の数字は、この記事では勧めていません(2年分の結果にすぎないためです)。

まとめ|次にやること

  • 乖離率−20%の逆張りは2年で勝率72.8%・平均+3.68%。でも4割は2025年4月の急落で、除くと+0.19%でETFに負ける(一部支持)
  • 下げ相場のほうが効くが、その7割は2025年4月(一部支持)
  • 新興市場は戻りが弱い。プライム+5.81%に対してグロース+2.12%(支持)
  • 終値の損切りを足すと勝率も平均も下がった。6割勝っても負けの平均が大きい(本人のことばとちがう)
  • 同業種の連れ高で出遅れを買うと3日で+0.77%、勝率52.7%(わずかに支持)

次にやることは3つです。

  1. 気になる株の25日線と乖離率を証券会社のチャートで表示し、−20%がどれくらい珍しいかを見る
  2. 2025年4月のような急落の日に、自分が買いの注文を出せるかを考えてから金額を決める
  3. ふだんはTOPIX連動ETFや投資信託を持ち、短期売買は余裕資金の一部にとどめる

検証の過程とグラフは 動画(7分57秒)にまとめています(解説役は架空のキャラクター、音声は合成音声です)。

この記事は雑誌で語られた相場の見方を公開データで検証したもので、特定の銘柄・手法・金融商品の売買を勧めるものではありません。

短期売買は損失が大きくなることがあり、投資の判断はご自身の責任でお願いします。

数値は2026年10月26日の計算結果で、データの基準日は本文の各表に書いたとおりです。

目次